雪の日のジブリ
ここは極寒の地サミンダワ。今日も凍えて生きていきます。
今日は成人の日ですね。成人の日には、いつも思い出すことがあります。
数年前、東京に滞在していた時の話。
友人夫婦と三鷹の森ジブリ美術館に行くその日は、あいにく前日からの大雪。とは言っても雪国出身者からすると「サラッと降ってきたな」くらいの量でした。前日のGoogleマップ調べでは、歩きとバスで小一時間の距離。30分くらい早く出れば大丈夫と高を括っていました。暖かめのダウンを羽織り、少し早めにバス停に着きました。
よくSNSで見る「こんな雪で交通網が麻痺するなんて東京弱い」ってやつです。あれを見かけるたび、そんなとこでマウント取ろうとしてどうすんの?って思っていました。が、この時になって分かりました。「この雪の量でバスが来ないって……本気ですか?」って、僕も思っちゃいました。マウントというか、今までの自分の行動基準から地域性を差し引いても、まだ予想が足りなかった事への驚きです。
とりあえず友人に「雪で遅れそう」「こっちもです」「まぁそのうち着くでしょう」なんてことを連絡しながら、バスを待っていたと思います。
そんなこんなで結局30分くらい遅れてバスが到着しました。ただ、驚くのはこれからでした。バス、全然進まないんです。歩けばよかったんじゃない?ってくらい、進まないんです。
こうなるって知っていたら、道順を考えたのに……不覚。
そんなことを思いながら外の風景を見ていたら、まだ雪が残る歩道を振袖や袴を着た若者が歩いていました。あっ、今日成人式なんだ。せっかく綺麗におめかししたのに、汚れて可哀想。貸衣装ならクリーニング代って多めに取られるのかな。間に合えばいいけど。なんてことを考えていました。
いくつか目のバス停に停まった時に、綺麗な振袖をきた三人組がバスを待っていました。
振袖じゃ長靴も履けないだろうに、一生に一度の集まりもこれじゃ台無しになっちゃう。なんて勝手に代弁しながら、乗ってくる女の子を見ていたら、意外なことに気づきました。
三人とも、めちゃくちゃ笑顔なんです。足元はびちゃびちゃなのに、嬉しそうに騒いでるんです。「いや〜さすがにこれ酷い」「ありえない」みたいな会話をしていたと思いますが、それも全部ひっくるめて楽しんでいる様子なんです。
あぁ、この子たちにとってはこの大雪でめちゃくちゃになった成人式自体が思い出になるんだな。って、思ったのを覚えています。ちょっと年齢を重ねて、ちょっと経験を重ねて、ちょっと社会を斜に構えて見るようになって、そんな立場から勝手に見ると残念な雪の中の成人式。けれど、それすら楽しみにしちゃう彼女達の素晴らしさに嬉しくなりました。
結局三鷹へは2時間近く遅れて着きました。けれど、ジブリに囲まれた瞬間にそんなことも忘れ、知人ととても楽しく過ごしたのを覚えています。雪で屋上の巨神兵は見られなかったけれど、それもまた来ように繋がり良い思い出になりました。
まだ集まることも難しいかも知れないけれど、彼女彼らの立場ではないところからの勝手な発言だけど、オンラインでお酒を解禁するも楽しいんじゃないかな。画面に映る上半身だけ綺麗にしてパジャマで騒ぐのも、それはそれで楽しめるんじゃないかな。なんて、無責任に考えてみました。
ちなみに僕は成人式に出ていないし、出る気もしていなかったので、思い出はありません。今なら思い出話くらいはあっても良かったかな、と思ったりしています。
BGM:フジファブリック「若者のすべて」
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